しゃくなげの当たり年

【山 域】 奥秩父・和名倉山
【日 程】 1995年6月9日夜発−6月11日
【コース】 一ノ瀬−将監小屋−山の神土−東仙波−和名倉山△テント泊
−千代の吹上−惣小屋の頭との鞍部(巻き道)−仙波ノタル−
山の神土−牛王院平−一ノ瀬
【メンバ】 山岳部部長52、イベント部会長43、和名倉山の住人32
【天 気】 6/10曇り時々小雨、6/11晴れ
【報 告】
 今回は、車で登山口まで行くので、集合は八王子駅だった。集合時間の 20:00には、雨はかなり降っている。しかし梅雨時という事もあり、みんな雨は覚悟で来ているので、誰もやめようと言い出す人がいない。(^_^;)

 奥多摩の辺りから道が乾いていて、少し期待が持てたが、一ノ瀬に着いた時は小雨交じりで、取り敢えずテントを張る。夜中に雨が降っていたようだが、翌朝は曇天で、まあ降らないだけましと言う程度の天気だった。

 将監小屋まで3時間のコースタイムを1時間半で登り、小屋へ着いた時は、霧雨が降っていた。ここで1泊分の水を汲む。一応、各自2Lのポリタンを用意し、更に私がボッカがてら5Lを持った。

 牛王院平で、帰りに使う予定の尾根筋道の分岐を確認し、山の神土へ。ここには、石膏ボードのようなもので、半分に折れた道標があり、右に「白石山」の文字が見える。ここから、いよいよ和名倉山への道が始まる。

 始めは、西御殿岩の東面を巻く。かつてはここの藪がひどかったのだが、今は良く刈り払われて、だいぶマシになったようだ。しかし、カッパのズボンは必要で、笹でびしょびしょになってしまう。次の2つのピークは、西側を巻くが、この辺りは、シャクナゲとイワカガミがたくさん咲いて美しかった。

 この巻き道が終わると仙波ノタルに出る。ここは左(西)側の少し下がった所にも踏み跡があるので、2つのピークを巻き終わったと思ったら、右上に上がる踏み跡を見落とさないようにしたい。

 タルで1本とったが、天気は相変わらずパッとしない。

 最初の予定では、天気が良ければ、クラシック?な巻き道(惣小屋の頭との鞍部を通る道)を行く予定だったが、やめて、現在のメインルートになっている、尾根通し(西、東仙波を通る)を進むことにした。この道がまた、シャクナゲとイワカガミが見事だった。東仙波の下りで、惣小屋の尾根の方にも踏み跡があり、少し下りかけて、間違いに気付き、戻って左に下る道へ復帰した。

 左側が切れてくると、少しで千代の吹き上げに出た。赤い岩が層状になっているのが面白い。ここは、先程の仙波ノタルから分岐する巻き道の合流点だ。仙波ノタル側は、かなり藪深かったが、こちらの方は、少しはよさそうだった。

 吹き上げからすぐに右を巻くが、すぐまた稜線に戻る。この辺は、本来なら西側の展望がきく所なのだが、今日は何も見えないのが残念だ。

 やがて樹林が切れて、腰までの笹原の八百平にでる。鹿の獣道が、幾つか交錯しているが、笹原の中央より、やや左目に行けばいい。再び樹林に入り、登りになると、秩父湖奥の川又へ下る道が分岐している。ここから最後の急登で、二瀬尾根の分岐の十字路(実際はT字路)に着く。もう、ここまで来れば山頂は目と鼻の先、ここで最後の1本を取る。

 この先の大きな草原は、その腹を、ほとんど水平に進み、樹林に入ったら、斜め上へ。その次の草原が今日の天場だ。草原の一番奥(上)にテントを張る。時間は、まだ2時なので、コーヒーでも飲んでゆっくりする。周りを藪に囲まれた深山の山頂付近に、こんなに素晴らしい草原が広がっているのが、何とも嬉しい限りだ。ゆっくり休んでから、山頂をピストンする。

 猛烈な倒木で囲まれた、視界のまったく利かない和名倉山の山頂は、この草原から4〜5分程で到達できる。このジャングルジムの様な倒木越えの道には、なぜか、1〜2mmの小さい虫が、たくさん飛び交っていて、髪の中や服にくっついて来る。私は、たばこを吸わないが、他の2人は、早速虫除けにと、たばこを吸うが、あまり効果が無いようだ。

 天場へ戻り、あらためて、南西の方を見るが、今日は展望は期待できないようだ。夕食前にゴロンと横になり、一寝入りする余裕があった。みんなで、「こんな、のんびりした山行もいいもんだねえ」と実感した。

 翌日は、梅雨時というのが嘘のように、いい天気になった。テントの入り口から顔を出すと、富士山が奇麗に見えている。帰りは、千代の吹き上げから、巻道(かつてのクラシックルート)の惣小屋の頭の鞍部を通る踏み跡をたどることにした。このコースは、惣小屋の鞍部が、背丈の低い(足首程)笹の原で、和名倉山らしい、いい雰囲気の場所で気に入っている。

 千代の吹き上げからは、踏み跡が細くなって、訪れる人の少なさを感じる。
 昔歩いた記憶を辿りながら、所々消えかかる踏み跡を探して歩く。笹原では、鹿だろうか、獣道が交錯しているが、「どの道」と言うより、「あっちの方」という感覚で進むので、大きく外すことはない。

 かつての飯場跡から、尾根を1つ登り返すと、惣小屋の頭との鞍部に着く。
 ここは、昔と変わらず、くるぶし程度の低い笹原で、このコースのハイライトと言った感じの所である。尾根の先にはツツジも咲いていた。この尾根の鞍部からトラバース気味に下りて行き、谷を1つ越え、次の尾根へ登り返す。

 ここから、さらに次の谷を越える所で道を失った。谷はガレ場になっていて、渡れそうな所で横断したが、その先に全く踏み跡がない。実はもっと下の方を通れば良かったのだが、もうすぐ仙波のタルなので、つい上へ上へと気持ちが、はたらいていたのだろう。これも一興(^_^;ゞと、藪を漕いで、数分で尾根道に出る。

 ここは、仙波のタルの手前で、随分、上寄りに来てしまったことに気付く。タルからは、名残り惜しいシャクナゲを楽しみながら、山の神土へ向かった。

 牛王院平(ごおういんだいら)からは、尾根道を下山した。こちらは、上部はとても緩やかで、なかなか高度を落とさないが、途中から急に下って、あっと言う間に(?)登山口についてしまった。

 以上、今年はシャクナゲの当たり年とかで、一緒に来てくださった方達に満足してもらう事ができて嬉しく思っている住人でした。