将監峠 雪で撤退

日 程 :1993.1.22夜−1.24
メンバー:和名倉山の住人、渓さん
コース :(予定)一ノ瀬−将監峠−東仙波−和名倉山−秩父湖
     実際は 一ノ瀬−将監峠−東仙波−吹上の頭(往復)
天 候 :23日 晴れのち曇り、夜半より雪
     24日 雪
【雪の上に踏み跡が】
 22日の奥多摩行き最終電車で、奥多摩駅まで行き仮眠。翌23日 7:15タクシーで一ノ瀬へ向かう。平日は6:55の丹波行きのバスがあるが、丹波にタクシーはないので、奥多摩から乗った。料金は10050円、塩山からだと8000円ぐらいなので、人数が少ないときは、塩山の方が良いと思う。
 タクシーの運転手の話しだと、先週奥多摩で30cm位雪が積もり、一ノ瀬は冬期暮らしている人がいなくなるので、1m位あるんじゃないかとおどされた。
 おいらん淵で青梅街道と分かれると、路面が雪で凍りついた所があり、車が横滑りするようになった。しかし、最後までラッセルされていて、8:25一ノ瀬に着いた。積雪は10cm位、村の人もまだ残っているようだった。
 シーズン中なら小屋のおじさんが、バイクで登ってしまうという登山道にも踏み跡があった。牛王院下の先で、踏み跡は七ツ石尾根へ分かれ、峠への道には足跡がなくなった。たとえ10cmと言えども、知らぬ間に、結構疲れるようだ。
 登山道は将監峠まで続いているが、将監小屋へ下りて休むことにした。この小屋の水場は、冬でも凍らないので気に入っている。素泊まり3000円(冬期3300円)、幕営300円の貼り紙あり。
 峠で奥秩父の主脈縦走路にぶつかるが、ここにも踏み跡はない。この先の牛王院平で、七ツ石尾根からの踏み跡に合う。ところが、何とこの足跡は、山の神土から和名倉山へと続いていた。この山も、山渓や200名山で紹介されてから、結構登られているようだ。そのためかわからないが、この近辺もしっかり刈り払いされていた。以前は、山の神土からいきなり猛烈な笹地帯になり、道も判然とせず、いよいよ一歩、足を踏み入れたなあ、という感じがしたのだが。(最新のエアリアには、いまだに「このあたりヤブひどい」と書かれているが、これは嘘だ。)

【山頂直下の天場まで行くのを断念】
 仙波のタルで一本とり、東仙波まで尾根上の道を行く。以前は惣小屋尾根の方を巻いている道の方が、歩かれていたようだが、今は稜線通しの方が歩きやすいようだ。
[ちなみに、巻き道の方は、腰ぐらいの笹薮が続き、惣小屋尾根の付近は、膝下の笹になり、ここに幕営したこともあった。また昔の作業場の跡もあり、春先には僅かばかりの水がとれるところもある。千代の吹上で稜線に復帰する。]
西仙波、東仙波を越え、ここからの下りでは、途中の倒木の所で道が二分するが、どちらを行ってもすぐ合流する。焼小屋の頭を登り返し下った所が千代の吹上である。西側に赤い岩が層のように積み重なり、風が吹き上げてくる。風はとても冷たく、体力を消耗する。ここから先は、吹上の頭までは樹林のなかの細い道、その先は西斜面の伐採された吹きっさらし、八百平付近は、腿までの笹と続く。幕営しようと思うと、その先の川又の分岐付近の原生林まで行かないといけない。
 時刻もすでに15:00をまわっていたので、吹上の頭先の伐採地の平らな所にテントを張ることにした。私の「和名倉山荘」(マジッ
クマウンテン・アルパインライト)はフライシートがぴんと張れるため、多少の風でも快適に過ごせるので、風を覚悟でテントを張った。
 すぐに中に入りコンロに火を着けると一気に暖かくなった。ここが寒い避難小屋との違いである。充分に暖まった後、早めに夕食をとり、天気予報を聞く。予報では夜半に低気圧が通過し、明日の午前中は、小康状態とのこと、明日4:30起き、6:30出発予定で寝ることにした。

【思わぬ大雪で撤退】
 夜中は風もなくとても静かだった。おまけに、全然寒くなかった。朝起きて気付いたのだが、一晩で30cm位雪が降ったために、フライが雪で覆われて、保温されていたようだ。4:30に起き、5:15には、もう食事も終わり、出発できる体制になっていたが、外は真っ暗で、雪も降っているので6:00まで待つことにした。
 6:00雪はいっこうに止む気配がない。秩父湖までの道は、10回以上歩いているし、去年の7月にも来ているので、わからなくなることはないと思うが、この雪が心配である。山の北面になるので、先週の残雪と今日の新雪とで、思わぬラッセルになったら、2人ではとても辛いだろう。やむなく、来た道を引き返し一ノ瀬へ下山することにした。

【雪でタクシーが呼べない】
 来た道も、雪で自分達の踏み跡が消えかけている。おまけに、枝に積もった雪の重みで、木の枝が垂れ下がり、道がわかりにくくなっている。初めてきた人は、迷いそうな雰囲気だった。山の神土までは、慎重に進み、小屋でコンロを焚いて暖かい食事をした。11:00に小屋を出て、足早に下山するが、雪は一向に少なくならない。12:30、一ノ瀬へ着いたが、ここの道路でも積雪10cmあり、4WDのわだちが付いているだけだった。これではタクシーも来られないだろうし、連続雨量180mmで通行止めになる青梅街道のこと、もし積雪通行止めにでもなったら、それこそ、丹波まで5時間以上、歩かねばならない。とにかく、来た車に乗せて貰うつもりで、青梅街道のおいらん淵まで歩きだした。30分程歩いた時、救いの神のライトバンがやって来て、丹波まで乗せて貰うことが出来た。
 とにかく疲れた山行だった。

以上 和名倉山の住人でした。