2009.2.21−22 谷川岳雪洞山行

【日 程】2009.2.21−22
【コース】ロープウェイ駅−登山指導所の上(雪洞)−西黒尾根鉄塔の先
【メンバ】BBR、M24、pitagon、K◇、Liv7、Yuki、SI、和名倉山の住人(記)
【天 気】21(土):吹雪、22(日):快晴
 9:27水上着の鈍行に乗車。沼田を過ぎたあたりから、ちらほら雪が見られるようになったが、雲行きも段々怪しくなり、水上に着いた時は、かなり大雪が降っていて、道路からは融雪の水が出ていた。水上からはバスでロープウェイ駅へ行く予定だが、バスの運転手さんの話しでは、ロープウェイは、吹雪で運転していないとの事。最悪は土合駅に寝る覚悟でバスに乗車して、ロープウェイの駅へ。同様に足止めを食らった山やさん、スキーヤー、ボーダーが休んでいた。とりあえず身支度を整えるも、吹雪は一向に止まずロープウェイは動きそうにない。
 昨年、都岳連の雪山講習会で登山指導所の近くに雪洞を掘ったとの経験から、M24さんが偵察に出る。私も少し様子を見に指導所の先まで行ってみると、先行パーティ6-7人が西黒尾根に取り付いていた。M24さんの偵察の結果、指導所先のカーブの所が吹き溜まっていて、掘れるかも知れないとの事で、とりあえずそのカーブまで行ってみる。
 確かに2-3mは積もっているが、半分は新雪で、弱層の上に積もっていると考えられるので、下手すると全体が滑り落ちる可能性もある。まずは、新雪部分を上から踏んで固めるべく、吹き溜まりの上に乗るが、道路の内カーブの側の縁にM24さんが乗って踏み固めようとした途端、幅2m長さ6m位が内側に崩れ、M24さんも崩れた雪の間にずり落ちた。カーブの外側(谷側)に崩れなくて本当に良かった。
 今崩れた吹き溜まりの断面で、2m以上が新雪である事が判り、雪洞を掘るには、崩れた部分を埋めて、さらに雪を積まなければならないだろうという事で、平成の大工事が始まった。入口のひさしにあたる部分は、ピッケル、ストックを突き刺して、銀マットで枠を作り、そこに雪を埋めて高さを作って行き、さらに同じことを繰り返し、2段で1m近くを高くした。
 上を十分に踏み固めながら、入口の前を掘り下げて行く。道路のアスファルトまで行く手前で、下の雪がザラメ状になって来たので、掘り下げるのは、ここで終了し、横に掘り進める。8人分なので、2m位離れた所から2つの横穴で掘り進める。8人で鉄スコ4本、プラスコ2本を準備したので、まず横穴掘りは2名、残りは、掘り出した雪を上へ積み上げる役。2m位奥に掘ったら上へ掘り上げる。スコップが縦に振れるようになると、効率が上がり出し、人が入れるようになると、どんどん掘り出せ、雪をかき出す方が間に合わない位になる。
 左右の穴が繋がると、中に4人が入って、どんどん広げて行き、大まかな形が出来上がった頃、いきなり天井から足が出てきた。上を踏み固めていたLiv7さんが、薄くなった天井を踏み抜いたのだ。SIさんが内側から足を押し上げて、何とか抜け出し、穴の開いた所を雪のブロックで塞ぐ。天井はだいぶ薄くなったので、今度は下と側面を広げ、仕上げに入る。今回は、雪を積む所からスタートしたが、若手も多く、8人で作業したので、いつも通り、3時間半で完成した。外は結構寒いが、中に入ると暖かい。
 まずは、靴を履いたままザックに腰かけて、お湯を沸かし、レモン湯としょうが湯で温まる。今回は雪を融かさなくても、登山指導所の所に水が湧いているので、それを利用する事にして、東京から持って来た水で夕飯のちゃんこ鍋を作る。(いつもは、融雪水で鍋を、行動水は持って来た水を利用する) 食料計画が10人分で計画されていて、前日に大食漢の食料担当GCさんが風邪でダウンしたたりで、8名に減ってしまったため、そうとうな量の具材があったが、結果的には、晩と翌朝とで、餅以外は食べ尽くしてしまった。
 雪洞は、元々湿度は高いが、鍋を食べている時は、湯気で全く視界が見えない。鍋の掛っていないコンロに火をつけると、どんどん湯気が消えて行き、視界も戻って来た。食後のお茶も済んで、水汲みからM24さんとpitagonさんが戻って来たら、寝る前に温まろうという事で、真中でコンロを焚いて、全員でツェルトを頭から被る。ツェルトの下でコンロを焚けば、天井も融けずに、すぐに温まる。顔が熱くなったら、今度は、炬燵として上半身は、ツェルトから出して、膝の上でツェルトを張る。コンロの火からツェルトの距離が近いので、ツェルトを燃やさないように十分に注意して、炬燵を楽しむ。
 温まったら、寝る準備で、床に銀マットを敷いて、ザックと各自のエアマット、シュラフを並べる。足はダウンの象足。シュラフがダウンなので、ゴアの合羽は脱いで潜り込む。また、いつもなら稜線の吹雪の中、入口は雪のブロックで塞ぐのだが、今回は小さいツェルトを内と外に張って2重扉とした。夜中に何人かがキジ打ちに外へ出る時も、ブロックを崩して出る必要が無くて良かった。吹雪いていない時には、この都岳連方式が有効だが、入口付近は結構寒かったようだ。
 夜中には雪も止み星空が見え、前日の冬山から一転、翌朝は無風快晴の春山となった。熊穴沢小屋付近に掘れていれば、本峰オキの耳、トマの耳を往復出来たかも知れないが、今回は下に掘る事になったので、上は諦めて、西黒尾根を少しだけ登ってみる事にする。前日のパーティの踏み跡を避けて、新たにラッセル訓練がてら、送電鉄塔ピークまで上がる。ここで、SIさんは夕方用事があるので、先に下山開始。残った7人は、もう少し登ってから、陽だまりでコーヒーを沸かして、下山は雪に足を取られないように下って、雪洞まで戻って来た。
 すると、外に置いていた装備にカラスがたかっていた。我々が近づくと逃げて行ったが、口に白いものを咥えている。そう、残っていた餅を狙っていたようで、見事に袋を開けて中の餅だけ食べられていた。帰りは、雨具に、ワカンやスコップもパッキングしたので、来た時よりも大きくなったザックを担いでロープウェイの駅へ。10分も掛らず着いてしまった。待っていたバスに飛び乗ったら直ぐに発車。水上で、公衆浴場の温泉に入り、隣の山岳博物館を見学してから駅に戻り、駅前のそば屋で昼飯を食べて帰った。
 バス650円*2、温泉550円、トン汁250円、舞茸天ざるそば1100円