GW前半で、片品村国境の燕巣山に行って来ました。今年は去年より雪が1m
程少なく、また、気温も高かったせいか、時折膝まで潜り、結構こたえる山行
でしたが、春山を十分楽しむ事ができました。

【山 域】奥日光国境
【日 程】2001/4/28(土)−4/30(月)
【コース】大清水 − 鬼怒沼△−燕巣山−四郎岳 − 1929m△−ペンション村
     10:05 16:55 5:15 10:40 14:15 15:00 6:00 8:40
【メンバ】S先輩、和名倉山の住人
【天 候】4/28 晴れのち曇り、4/29 晴れのち曇り夜半より雨、4/30 小雨
【報 告】
 先月に続いてまた、奥日光国境稜線の旅です。今回は、私に和名倉山を教
えてくれた先輩のSさんと2人で行って来ました。Sさんは、地平線会議の
三輪先生と東海道五十三次を走ったり、笹尾根−三頭−雲取−長沢背稜の都
境尾根を50時間で踏(走?)破したりと、最近ではとても着いて行けない超人
的な活動をされているのですが、久し振りに藪山にお誘いしたら、ご一緒し
ていただけるとの嬉しいご返事をいただきました。

 沼田からバスで大清水まで。(2200円)この関越交通バスカードは、3000円
で、4350円分!乗れる超お得なカードで、これを利用。大清水では水芭蕉が
見頃で、観光客がたくさん訪れていた。

 観光客の喧騒を離れ、ロープの張ってある手前の橋を渡って沢沿いの林道
を入って行く。林道のどん詰まりでは、右手の土手の上で化石採集か?ハン
マーで石を叩いている人達がいた。この先、雪の残る左岸(右手)の道を行く。

 やがて赤布の所から左下の沢に下り、ここで沢を渡渉する。石伝いに渡れ
なくもなさそうだが、石が濡れていたので、初めから水の中を行く事にした。
靴下を脱いで、靴の中敷を取り、ズボンを捲り上げ、靴にスパッツの格好で
ピッケルを杖代わりに、流れを渡る。私は幸い靴の中には殆ど水が入らなかっ
た。対岸で靴を履き直して出発。

 ここからは、ひとしきり登って尾根の上に出て、あとはこの尾根をひたす
ら登るだけ。右手には、燕巣とその右奥に西になだらかな尾根を張った四郎
が姿を現し,振り返ると尾瀬ヶ原南の尾白山が至仏を隠している。さらに高度
を上げると、左の尾根の上に、燧ケ岳の白い双耳峰が姿を見せた。1700mを超
え、雪が出てきたので、アイゼンを履く。

 鬼怒沼へは、手前の物見山を越えなくては行けない。この最後の登りが、
結構こたえた。物見山から鬼怒沼の雪原が見下ろせたが、小屋の場所までは
判別できなかった。物見山から一旦下って湿原の手前の小高い丘の樹林帯を
抜けると広い雪原に出た。雪原の右手には日光白根山が、左手には燧ケ岳が
望める素晴らしいロケーションだ。あいにく小屋は半分以上雪に埋まり、屋
根だけ出た状態で、この隣りにテントを張った。

 翌朝、雪原を横断し、樹林帯を抜けて一里沢の源頭部の船窪へ下り、国境
稜線の最低鞍部2000m地点目指してトラバース気味に登って行く。ここから
4つの小ピークを越え、5つ目が燕巣山だ。標高差は大して無いのだが、行
く手を阻む原生林と、時折膝や腿まで潜る柔らかい雪とに苦しめられる。上
越国境のように、スッキリした雪稜を行くイメージはまったく無い。それで
も4つ目の登りでは、左手に湯沢峠から念仏平へ続く国境稜線が近付いてき
て、いよいよ燕巣も目の前に迫ってきた。

 5時間半掛かって、やっと燕巣(つばくろす)山2222mに着いた。昨年、四
郎岳を計画した時も、先月2001m峰に来た時も、余裕があれば燕巣まで足を
延ばしたいと思っていながら、思いを果たせず、4回目にしてやっと念願の
山頂を踏むことができた。Sさんと硬い握手を交わす。山頂は山名表示板の
ある北半分には雪が無く、笹藪の中の山頂記念撮影となった。

 ここから、国境稜線と離れ、四郎峠に下っていく。この大下りがしょっぱ
かった。樹間に四郎岳を見ながらぐんぐん下るに連れ、次第に樹林と藪が濃
くなり、やがて、ストンと落ちるように急斜面に変わり、道を外している事
に気づく、Sさんが右手にトラバースするように言われ、急斜面をずり落ち
ないように、右に回り込み、本来のルートに乗る。この燕巣の下りは、傾斜
があるだけに、結構緊張させられる。

 鞍部まで下りてホッと一息。ここから1891mの中岳?を越え、1820mの最低
鞍部に着いた。ここには、赤布や「E」の文字のステンレスの板が打ち付け
てあった。ここから四郎までは、300mの苦しい登りが続く。まずは尾根通し
に進み、やがて正面が急になって来ると右手の尾根(北東に延びる尾根)に向
うように登り、樹林の中を縫って行く。2050m付近で、一旦傾斜が緩くなる
ところで、やっと山頂かとだまされたが、まだ 100mの登りが続いていた。

 最後は、2140mを越え急に大きく広がった山頂の縁に出て、あとは、左手
奥の最高地点まで、もうわずか。Sさんが先を譲ってださったが、私は去年
来ているので、Sさんに先に山頂を踏んでいただいた。山頂にある山名表示
板が、雪の上1m位の高さに出ていたが、去年は、足元の雪を少し掘って顔
を出していたので、今年は1m位雪が少ないようだ。

 そのうちSさんが、あんな所に赤布があると見上げると、何と去年私が付
けた赤布だった。去年は手が届いた枝も、今は遥か上になってしまった。山
頂からは、去年テントを張った 1929mの小ピークまで、記憶を辿りながら下
りて行く。一旦林道を横断し、わずかに登り返して、岳樺の林の中の1929m
ピークに到着。ここで最後の幕営をする。

 夜半より雨が降り出したが、明け方には小降りになった。下山は去年と同
じコースを辿る事にした。まずは、東に向かってひたすら下りる。やがて、
雪の斜面が現われるので、これを下るが、途中で左手の沢を渡らなければな
らない。ところが、沢に去年は雪が詰まっていたので渡れた所が、今年は、
左岸の雪が落ちて土の壁が剥き出しになっている。

 暫く沢の中を進んで、根曲がり竹の張り出した所から、これに掴まって登
り返した。逆層の根曲がりに苦しめられながら登り切ると、再び雪が現れ、
あとは、時折消えかかる雪を上手に拾いながら、何とか林道に飛び出した。
帰りは、フキノトウを取りながら、昔しの思い出を話しながらペンション村
へ下山した。