こんにちは、和名倉山の住人です。

 日光四郎岳を計画しましたが、思ったより雪が締まっていなくて、
途中で断念して引き返しました。

【山 域】四郎岳(日光丸沼)
【日 程】2000.3.18−19
【コース】ペンション村−林道−支尾根−1650m(テント泊)−尾根
     10:25        13:00  14:30-6:45     8:25
     −1858m(往復)−尾根−天場−ペンション村−白根温泉
      8:45     9:05 9:25-10:45  12:05 13:25
【メンバ】単独
【天 候】3/18:晴、3/19:晴のち曇り
【報 告】
 ユザワヤで買った赤い木綿の布を短冊に切って準備していると、気持ちが
引き締まって来る。でも、この緊張感が何とも心地好い。

 尾久駅5:19の各駅停車で、高崎乗り継ぎで沼田着が7:55。ところが沼田駅
前では、雪かきをしている。聞くと昨日雪が降ったとの事。昨年、大佐飛山
へ行った時は、良く雪が締まっていてとても歩きやすかった。今回も、その
状態を想像していたために、ちょっと先が心配になる。
 鎌田までバスで。鎌田は、尾瀬と日光の分岐点。ここからタクシーで丸沼
ペンション村へ(4,340円)。ペンション村の中の道は、すぐにY字に分岐して
いるが、ここは左手のまっすぐ延びる道を行く。やがて道が左に曲がるカー
ブに、第3ペンション村と書かれているココが林道の入り口だ。

 既に先行者のスノーシューのしっかりした踏跡が2本の線となって付いて
いる。ここで、ワカンとスパッツを付け出発。すぐにゲートがあり、これを
横からくぐり抜け、林道を進む。先行者のトレースに助けられ、さほど苦も
なく歩く事ができた。林道は左へカーブして、橋を渡り大きく戻るように延
びている。この先で、先行者のスノーシュー隊に追い着いた。スノーシュー
はペンションで貸してくれるようで、この林道を辿り大尻沼を周る周遊コー
スが楽しめるそうだ。

 スノーシュー隊を追い越すと、あとは単独でのラッセルが続く。右に折れ
しばらく行くと切り通しが現れ、ここで1本立てる。この先、林道はつづら
折れに登っているので、途中ショートカットして登る。切り通しの次から数
えて5つ目のカーブが、今回登る支尾根の取り付き点になるが、尾根の末端
は、5m以上のガレた壁になっているので、その横の残るスノーブリッジを
利用して尾根に取りついた。

 尾根上に出ても、案の定、雪は締まっていないため、厳しい単独ラッセル
が続く。この支尾根は、地図で見る通り緩やかで、どこへテントを張っても
良さそうだ。
 14時半をまわった時点で、まだ1650m地点だが、やむなくここにテントを
設営する事にした。さて、今回は2泊3日体制でアタックに来たが、この先
もなお、厳しいラッセルが続くだろうし、おまけに天気予報では、明後日は
悪くなるとの事。明日、この先にテントを運んだとしても、明後日下山でき
なくなる事も考えられる。ここで決断し、明日はテントはここに張ったまま
で稜線まで行って引き返す事にした。最悪、稜線までの往復にかなりの時間
を費やし、この1650m地点にもう1泊する事になったとしても、ここからな
ら、1日で下れるだろう。

 翌日、まだ晴れているので、とりあえず稜線までワカンを付けてラッセル
する。途中、多少傾斜が急になった辺りでは、足元をズボッと踏み抜いてし
まい、半分木登り気味に登る事になった。
 1ピッチ半で稜線に出るが、稜線に出ても気持ちの良い雪稜では無く、相
変わらず樹林の中を縫って歩く様な感じだ。とりあえず南の1858m地点まで
往復して、元来た道を引き返すことにした。

 帰りはグングン下れて1時間掛からずに天場に着いた。靴を履いたままテ
ントに入り、お茶を沸してから、テントを撤収して下山。
 帰りはペンション村から白根温泉まで歩き、加羅倉館で温泉に浸かり、汗
を流して、無料の丸沼スキー場シャトルバスで鎌田まで帰った。

 今回は、かろうじて稜線まで辿り着いただけで終わったが、次回は4月中
旬辺りに再挑戦したいと心に誓う。

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 前回、途中で撤退した四郎岳。4月に再挑戦したかったのだが、4月は色々
と別な山行が入ってしまい、また今年も登れないかと半分あきらめていた。
しかし、何とかGWの最後(5/5-7)に3日間の空きができたので、堂津岳
(5/3-4)の靴が乾かぬ間に出発する事にした。本当は、連休の最後くらいは、
家でゆっくりしたくもあったが、多少無理してでも行った甲斐あって、念願の
四郎岳を踏む事ができた。

【山 域】四郎岳(日光丸沼)
【日 程】2000.5.5−6
【コース】ペンション村−林道−支尾根1550m−稜線−1929m(天場)
     9:50     10:40    11:40  13:20   14:40
     天場−四郎岳(往復)−天場(テント撤収)−林道−ペンション村
     5:00 5:58-6:36   7:10-8:07     8:49 10:45
【メンバ】単独
【天 候】5/5:快晴、5/6:晴
【報 告】
 前回は、雪が締まっていなくて、稜線までしか行けなかったが、今回は逆に
薮が出ているかも知れないが、今年最後のチャンスと思い再挑戦する事にし
た。
 前回同様、丸沼ペンション村から歩き出す。今回は日陰に雪が少し残るのみ
で、林道もサクサク歩けた。切り通しから先も雪が無いため、ショートカット
はできず、そのまま第1カーブから5カーブまで林道を辿る。

 第5から前回はスノーブリッジで取りついたが、今回は崖がむき出しで、登
れない。その手前もずっとブロック積みの崖の為、登れそうな所を探して、結
局、第4カーブまで戻る。ここで崖は無くなり、笹薮の中に赤布が付けられ、
先人が利用している様だった。赤布には、あゆむ山の会と書かれていた。

 ここから、猛烈な笹薮漕ぎが始まる。雪など殆ど無く、笹は逆層で、笹の上
に乗って足元は滑りやすいので、両手で笹を持って、笹と格闘しながらの登り
となった。薮漕ぎ1時間、支尾根に出ても、一向に雪は無く、相変わらずの薮
漕ぎが続く。

 1650m付近、前回テントを張った辺りだろうか、未だに雪は無く、薮漕ぎが
続く。わずかに消えそうな鹿の獣道を辿るが、すぐ薮になる。しかし、この辺
から尾根の右側の方が雪が残っているので、できるだけ雪の上を歩くように
し、少しは効率が上がって来る。徐々にではあるが、尾根上も雪で薮が隠れる
様になり、さらにピッチが上がって来るが、それでも、所々、ズボッと踏み抜
くとボディーブローで身に堪える。

 稜線に出る直前で、じっくり考える。この薮尾根を下る場合、4−5カーブ
間は崖で、林道に下りられない。どんピシャ第4カーブの曲がりっぱなに出ら
れないと、結構厳しいだろう。地図を出し、しばしにらめっこ。1つ先の尾根
を下れば、林道の先にぶつかり、ここは尾根も緩やかで林道の周辺に崖の印も
無い。実際、遠目にも隣の尾根なら下の林道まで雪が着いているように見え
る。

 稜線に出るといっそう傾斜は緩くなるが、気持ちの良い雪稜は現れない。樹
林を縫うように登り、ようやく1929mの小ピークに辿り着いた。この先、ちょ
っと下りかけた樹林の中にテントを張ることにした。下山は、ここから西に向
かえば、登りに使った尾根の1つ先の尾根に出られるハズだ。

 冬場と違い、穏やかな陽気のため、テントの中でものんびりすごせるので、
連休中の山行の疲れも、今日の薮漕ぎの疲れも癒される。日暮れが遅くなった
ので、ゆっくりと水作りをし、夜はあまりにも静か過ぎるので、熊などの獣除
けにラジオをつけて寝る。

 翌朝も良い天気の中、テントを張ったまま、ラジオもつけたままで出発。
ところが、1929m先の鞍部と思われる付近に来ると、目の前に異様な光景が飛
び込んで来た。幅10m程に渡って、樹林がまったく無い所が現れたのだ。思わ
ず、えっ、と声が出てしまう。確認のため、尾根の右側を覗き込むと、やは
り、「林道」の様だった。林道がこんな 2000m近い尾根の上を乗っ越してい
るのだ。「何でだー」、何だか今までの苦労が総て否定されるようで、とても
悲しい出来事だった。

 だが、まだ山頂には至っていない。気を取り直して、歩を進める。この先、
尾根の東寄りに進むと、やっとわずかに、雪の廊下が現れ、これを登り、山頂
直下で、再び樹林の中に入り最後の一登りで、四郎岳山頂に着いた。
 下には、丸沼が大きく広がり、奥には、日光白根山が頭を突き出している。
ハイグレードハイキングの本の写真で見たのと同じ道標があり、とうとう来た
という感慨に、しばし、ふけっていたが、セルフタイマーで記念写真を撮り、
引き返す事にする。

 下りは、間違いやすい尾根をなるべく左寄りに天場まで戻り、テントを撤
収。1929mから西(温泉岳方面)に向かって雪の樹林帯を下りて行く。途中で沢
が現れ、早めに対岸へ渡った方が良かったが、右岸の方が、歩きやすい雪稜
だったため、しばらく右岸を下りる。やがて尾根が急に落ちる様になり、ここ
から雪の詰まった沢に下りる。

 この沢をしばらく下りるが、左右から流れ込む枝沢は、水が轟々と流れてい
るため、今歩いている雪の下は、完全に流水になっている。いつ足元が抜けて
しまうか、心配しながらしばらく下りたが、段々足元の雪が薄くなって来てい
るようで、適当な所で左岸に登れそうな雪の斜面を見つけ、キックステップで
沢底から脱出。本来下りようと思っていた尾根に出た。あとは、この尾根を下
り、最後は多少薮っぽくなったが、何とか林道へ出るまで、雪の上を歩けた。

 昨日、隣の支尾根で考えた通り、こちらの尾根の方が、うまく下りられた。
最後は、林道をペンション村まで戻れば良いのだが、途中の落石がすごく、一
抱えもあろうかと言う巨大な石が林道に落ちている。その脇を落石に注意しな
がら、すり抜け、途中でふきのとうを採りながら、達成感で満足になりながら
下山した。