奥多摩日原川倉沢から棒杭尾根を登って仙元峠を越えて、秩父浦山までを
歩いてきました。棒杭尾根は、道がしっかりとついていて、上部は幅4,5m
の防火帯になっていました。また今回は奥多摩では、初めてニホンカモシカ
と金色のイタチかテンのような獣を見る事ができ、浦山ダムでは親子連れの
サルも姿をあらわしてくれました。

【山 域】奥多摩−秩父
【コース】倉沢−林道終点−(棒杭尾根)−縦走路−仙元峠−大日堂−浦山口
     7:50 8:40         10:03  10:20  12:35  14:25
【日 程】1999.10.31(日)
【メンバ】単独
【天 候】曇り、時折霧雨

 奥多摩7:30の東日原行バスは、5,6人立っている人がいる位の混み様
だが、約半数が川苔橋で下車、残りの人達は東日原まで行くようで、倉沢
で下車したのは、私だけだった。倉沢林道を遡る途中、右下の渓谷が美し
い。小滝と青い釜が続き、下に気を取られていたら、途中の堰堤の上に、
ニホンカモシカが姿を現した。奥多摩にはもう18年位来ているが、ニホン
カモシカを見たのは初めてだった。カモシカは、凹の形をした堰堤の上を
器用に渡って対岸へ消えた。

 本谷を橋で渡りS字に登り、再び沢沿いになり、地蔵橋で右岸に渡ると
まもなく林道の終点だ。バイクが谷に落ちている。崩れた林道の先には、
カモシカ保護地域の青い標識が立っている。この左手に「ヒメサユリ山の
会」の青い短冊があり、ここから登って行く。

 始めは岩の露出した沢状の右岸(向かって左手)を登り、10m位登った所
で反対側に渡り、支尾根の上を登って行く。10分程で、棒杭尾根の上に飛
び出した。保安林の標識があり、ここで小休止。この先左に踏み跡が分か
れているが、まっすぐ尾根の上を進む。やがて350mの急登が始まる。道は
しっかりしていて、藪漕ぎなど全く無いが、とにかく急登だ。左には平行
する尾根が見えている。

 露岩が現われる頃、急登も終わる。周りは、腰から胸くらいある笹が、
現われて来るが、この尾根は、幅4,5mの防火帯になっていて笹も良く刈り
払われている。突然、目の前がパッと明るくなったと思ったら、真っ赤な
カエデの枝が頭上に広がっていた。ここから少しで稜線の南面の縦走路に
出た。縦走路には、道標があり、その真中にマジックペンで、「倉沢、エ
スケープ」と小さく書かれていた。

 ここまで、一人も会わなかったが、縦走路を仙元峠へ向かう途中で、後
ろから来た速歩きの人に抜かれた。この人はヨコスズを登って来られたと
の事。朝同じバスだったようで、倉沢で降りた方ですかと声を掛けられた。
何処へ行かれるのですかと聞かれたので、浦山へ下山しますと言ったら、
浦山って何処ですかと聞かれてしまい、ちょっと寂しくなってしまった。

 仙元峠は、縦走路から外れているためか、誰もいない静かなピークだっ
た。(峠と言っても鞍部では無く、ピークになっている。)ここで昼食後、
浦山への道を下りる。始めは湿った落ち葉で滑り易い急坂が続き、途中で
尾根の東側に回りこむと踏み跡もかすかになり、良く道を拾って行かない
と、道を見失いかねない。この途中で、金色の毛皮のイタチかテン?のよ
うな獣に出会う。ヤツも最初は驚いて逃げようとしたが、すぐに振り向い
て、樹の根元に顔を突っ込んだ。慌ててカメラを構えると、頭を起こした
が、口にはネズミを咥えていた。この獲物があったから逃げなかった様だ。

 細々とした巻き道も終わり尾根上に戻ると、送電鉄塔が現われ、後は、
この巡視路を辿って下りることになる。4つくらい鉄塔をくぐると大日堂
に下山した。しかし、バスが2時間も無い事から、ここから延々と浦山ダ
ムを越え、秩父鉄道の浦山口駅まで歩かされる事になった。