両神山を登った人は、たくさんいても、見た人は意外と少ないかも知れません。
天理岳から両神山の東面にダイレクトに登るこのコースは、両神山を眺める最適の
場所だと、私は思っています。屏風を立てたような、両神の岸壁が見上げるように
立ちふさがり、すさまじい迫力で聳えています。八丁峠、白井差、日向大谷の一般
コースを歩き終えた人に、ぜひお薦めのバリエーションルートです。

 ハイグレードハイキングの本にのっとり、自分流にグレード付けしてみました。
  岩:☆☆☆、 RF:☆☆☆、 体力:☆☆☆、 藪:☆
 と、言ったところでしょうか。

【山 域】 秩父 両神山
【コース】 納宮−奈良尾峠−天理岳−両神山−清滝小屋(テント泊)
      −日向大谷
【日 程】  1994.11.26(土)−27(日)
【メンバ】 和名倉山の住人(単独行)
【天 気】  26日:晴れ、27日:日の出前は雪、のち晴れ
【報 告】
 25日(金)夜、西武秩父まで入り、仲見世の一番奥で、シュラフで仮眠。翌朝一番
6:35 発の小鹿野行きに乗る。時刻表では、小鹿野役場が、7:10になっていて、乗り
換えの坂本行きが、7:09発。同じ西武バスなので、1分違いで接続しないなんて事は、
ないと信じていたが、やはり、西武秩父発のバスが、小鹿野役場に着いたのは、7:08
で、坂本行きに接続した。

 納宮着7:45、ここから左下に下りる車道を行き、橋を渡って、民家の間を抜けた所
に道標ある。しばらく、畑の縁を行き、少し下って、右から流れ込んでいる沢を渡っ
た所で右に折れ、この沢沿いに登って行く。20分程で支尾根にでる。暗い尾根を登
り、天理岳へ続く稜線の直下で、右に二子山の奇異な姿が見えてきた。

 歩きだしから1時間で、稜線に出る。奈良尾峠は、ここから少し右に行った所だ。
左は伐採地で、日当たりがいいので、この峠で小休止。ここから、いよいよ、急登が
始まる。まず、あまり踏み固められていない、土と枯れ葉の斜面を登る。下が柔らか
いので、結構疲れる。これを登ると、目前に2つの岩峰が見えて来る。最初の岩稜は
直登し、次ぎは右の巻き道の途中から、木の根に掴まって登る。この先、岩稜がすっ
ぱり切れて行き止まりになるので、少し戻って左(南面)から岩の基部を巻く。

 9:55 1015m地点で、一本取る。1083.6m の三角点は、気が付かなかったが、その先
左から巻くように鎖場を登ると天理岳の頂上に着く。(11:07着) ここから眺める両神
山は、岩の屏風をめぐらした様で圧巻。ここで、これから進む尾根を確認しておく。

 天理岳からは、少し尾根を進み、ちょっと下った所から左へ戻るように下りて行く。
踏み跡は、はっきりしないが、等高線の詰った急斜面は、こんなもんだろう。下りき
ると尾根ははっきりしてくる。

 尾根をまっすぐ進むと、岩稜で行き止まるので、戻りながら尾根の南側へ下りる道
を見つける。この先の岩場は右を巻き、途中で上に上がればよかったのだが、巻き過
ぎて、復帰するのがたいへんだった。

 12:07 1130m で一本取る。この先は、緩やかな尾根のだらだら登り。12:50 1280m
付近で、もう一本。余り高度を稼いでいない。13:45 1505m かなり稜線が近づいて来
るが、まだ岩場は出て来ていない。だんだん、雲が厚くなって来て、山頂の稜線は、
雲の中に隠れてしまう。ここまでは、日陰の木の根元に、少し雪が残っている程度だ。

 1505m を過ぎると、岩場が現れる。ここは、左よりに登る。少々しょっぱい所だ。
これを、越えるとまた楽になり、うっすらと積もった雪の上に、足跡があった。かな
りはっきりしているので、昨日あたり先行者があったものと思われる。その先、稜線
に出る手前15分位の所もちょっとした岩場になっていた。

 14:47 稜線に出る。ここから両神山山頂は、左に稜線を進む。15:07 山頂着。16:05
無事に、清滝小屋へ着き、テントを張る。
 今朝は、5時頃から1時間ばかり雪が降ったが、1cmも積もらなかった。

[まとめ]
 岩場は、天理岳手前に2箇所、天理岳の登りの鎖場、1505m を過ぎた所の4箇所。
 ザイル不要。稜線が岩場で行き詰まったら、戻って、尾根の南側に道を探す。